【2001年~2025年】
その後、21世紀の幕開けと共に世間を騒がせた「2000年問題」
の時代を境に、宇部電業グループは大きな転換期を迎えます。
人的ネットワークを武器に、山口県内で公共事業へ傾注していく4代目。
一方で、技術力を武器に、
電気・通信・コンピューターを融合したFA系エンジニアリング企業として成長を追究する5代目。
親子でありながら、目指す経営ベクトルは次第に明確に分かれていきました。
そして2001年。
異なるベクトルの事業を両立させるため、持株会社化という決断を下し、
山口発の技術と東京市場を繋ぐ持株会社として、東京に本社を置く現・SYNCHRO が誕生。
ここから、グループとしての「第二創業」が始まっていったのです。
2000年前後。コンピューティング性能とIP通信は日進月歩で進化し、インターネット社会が本格的に幕を開けました。
5代目である私も、この時代に技術者としての礎を築きました。
しかし、その熱狂の裏で気になっていたことがあります。
誰もが「便利になる未来」を語る一方で、「通信は本当に安全なのか」という問いはほとんど議論されていなかったのです。
PCやネットワークが社会の隅々まで普及するにつれ、利便性と引き換えに通信の脆弱性も静かに拡大していきました。
その違和感こそが、後にSYNCHROの経営理念である
「世の中の潜在ニーズにシンクロする事業の追究」
へと繋がります。
人々がまだ気付いていない課題に向き合う。
私たちが次に見据えたテーマは、通信セキュリティでした。
そして、この問題意識が後のVolatileKey構想へと繋がっていくことになります。
SYNCHROが次に挑んだのは、「人」のアクセスコントロールでした。
当時、多くの現場では鍵やICカードによる認証が主流でしたが、盗難・偽造・貸し借りによる“なりすまし”が後を絶ちませんでした。
そこで私たちが着目したのが、生体認証です。
その中でも偽造が極めて困難な「手の甲静脈認証」を選択し、世界で初めてIPネットワークを活用した静脈認証システムを開発。
全国に分散した認証装置を統合管理し、大規模な入退室管理システムとして普及させました。
私たちの使命は、「なりすましをなくす」ことでした。
静脈認証によって、人の「なりすまし」は大きく減らすことができました。
しかし、ある問題に気付きます。
もし通信そのものが乗っ取られたらどうなるのか。
本人認証が成功していなくても、サイバー空間から不正な命令が送り込まれ、ドアが開いてしまうかもしれない。
IoT機器が急速に普及する中で、私たちは早い段階から「通信の安全性」こそが次の課題になると考えていました。
守るべき対象は、人だけではなかったのです。
既存の通信技術では不十分。
そう考えた私たちは、自ら安全な通信基盤の研究開発に乗り出しました。
目指したのは、インターネット上でありながら閉域網のような安全性を実現すること。
そして誕生したのが国産通信技術「KATABAMI」です。
Zero Trust Access Control(ZTNA)の考え方を取り入れ、音声・文字・画像など様々なデータ通信で実証を重ねました。
現在は脆弱性診断サービスや安全なバックアップサービスなどで実用化を進めています。